シングルマザーが一人で子どもを育てていくには生活費や教育費といったさまざまなことにお金が必要となり、経済的に負担がかかります。
仕事で得る収入だけでなく公的な手当てや養育費の存在は大きいもの。子どものためにも手当や養育費はしっかりともらいたいです。
今回はシングルマザーがもらえる児童扶養手当について紹介させていただきます。養育費をもらっていると児童扶養手当はどうなるのかまとめました。
シングルマザーは児童扶養手当と養育費を両方もらえる
結論から言うと、公的な手当てである児童扶養手当と離婚した相手からの養育費は両方もらうことができます。
それぞれにどんな仕組みとなっているのか、児童扶養手当と養育費についてご紹介させていただきます。
母子手当(児童扶養手当)について
シングルマザーがもらえる公的な手当てには「母子手当(児童扶養手当)」があります。
ひとり親世帯の子どもの福祉の増進を図ることを目的に、ひとり親が子どもを養育するためにかかる生活費や教育費を「補助」するために支給されます。
平成22年8月から父子家庭も対象となり、「母子手当」から「児童扶養手当」となりました。
父母だけでなく、父母に代わって子どもを養育する祖父母なども受給の対象となります。
受給期間
子どもが0歳~18歳の3/31を迎えるまで(高校卒業まで)。
政令で定める程度の障害等を持った子どもは20歳まで支給されます。
児童扶養の支給額
対象となる子供の人数や所得によって、全部支給と一部支給があります。
対象となる子どもの人数 | 全部支給 | 一部支給 |
1人 | 43,070円 | 43,070~10,160円 |
2人目(加算額) | 10,170円 | 10,160~5,090円 |
3人目以降一人につき(加算額) | 6,100円 | 6,090~3,050円 |
申請方法
住んでいる自治体の窓口で申請します。
認定を受けるためには所得を証明する書類などが必要となります。必要書類は自治体によって違いますので事前に確認しましょう。
審査を受けて認定されると、申請をした翌月以降から支給されます。
支払期月は1月、3月、5月、7月、9月、11月の奇数月に2か月分を年6回です。
養育費について
子どもの監護や教育のために必要な費用とされています。
支払う期間は話し合いによって決められますが、子どもが自立するまでにかかる生活費、教育費、医療費などです。
離婚により親権者でなくなっても、扶養の責任はあくまで「親」であるとされているため、養育費の支払いも義務となっています。
なので母子手当をもらっているからといって「養育費はいらないはずだ」「養育費を減額しよう」となってはならないのです。
母親の方が収入が高かったとしても養育費の支払い義務がなくなることはありません。
養育費は経済的に困窮している場合は費用の減額が認められることはありますが、支払いを拒否することはできません。
養育費の金額は基本的には話し合いによって決められますが、「算定表」を基に決められることもあります。
養育費の取り決めをするための話し合いでは以下についてしっかりと話し合い必ず書面に残しましょう。
- 養育費の金額
- 支払期間
- 支払時期
- 振込先
費用はかかりますが、都道府県にある公証役場で公正証書(執行証書)を作成しておくと、養育費が支払われなかったときに強制執行の手続きを利用することができます。
養育費の取り決めは離婚後でもできますが、離れて暮らし始めてからの話し合いは難航することが多いです。
時間をつくるのも大変になってきますので、離婚前にしておくほうがいいでしょう。
児童扶養手当の所得申告には養育費は含まれるので要注意!
児童扶養手当を申告する際に所得申告をします。その際に養育費は加える必要があります。
養育費と所得金額の合計が一定水準を超えている場合は児童扶養手当は受給できませんので注意しましょう。
児童扶養手当の所得申告には養育費の8割を加算する
児童扶養手当の本人所得額は、自分の所得金額に養育費の8割を加えたものになります。
自分の所得金額というのは源泉徴収票の中の「給与所得控除後」の金額です。個人事業主の場合は所得金額の合計が所得金額となります。
なので、養育費を含めた所得の金額によっては、児童扶養手当の減額や支給停止となる場合があります。
養育費の金額が決まったあとに、児童扶養手当の支給額が決まるのです。
給与所得控除後の金額に養育費の8割を加えた金額が以下の表の範囲内であれば受給対象になります。
子どもの人数 | 全部支給所得額 | 一部支給所得額 |
1人 | 870,000円 | 2,300,000円 |
2人 | 1,250,000円 | 2,680,000円 |
3人 | 1,630,000円 | 3,060,000円 |
例)所得額200万円・子ども1人・養育費36万円(月3万円)の場合
所得額=200万円+36万円×0.8-8万円-10万円(給与所得がある場合)=210万8千円
所得額が210万8千円で全部支給所得額87万円は超えているので全部支給の対象ではありません。
しかし、一部支給所得額230万円以下なので一部支給の対象となります。
一部支給手当額は以下の計算式で算出されます。
ですので、今回のケースの場合、手当額は以下の金額となります。こちらは月額なので、1回の支給額は29,160円となります。
一部支給手当額=43,060円-(210万8千円-87万円)×0.0230070≒14,580円
養育費をきちんと申告しないとペナルティを受けることに
児童扶養手当を少しでも多くもらいたいと思い、所得申告時に養育費をもらっていることをきちんと申告しないと不正受給となってしまいます。
不正受給となると、受け取っていた受給額に相当する金額の徴収、30万円以下の罰金などペナルティが課せられます。必ず申告するようにしましょう。
最後に
シングルマザーは児童扶養手当と養育費は両方もらえることをご理解いただけたでしょうか?
シングルマザーが一人で子どもを育てていくにはどちらの支援も大切です。申請や話し合いはできるだけ早めに行い、新生活に備えてくださいね。
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